企業の健全な経営と透明性を確保するために、重要な役割を担う「社外取締役」と「社外監査役」。会社の経営陣から独立した立場で監督・監査を行う、コーポレート・ガバナンスの要ともいえる存在です。
しかし、誰でも社外役員になれるわけではなく、その独立性を担保するために法律で厳格な要件が定められています。
この記事では、株式会社と相互会社における社外取締役・社外監査役の要件についてQ&A形式で分かりやすく解説します。
株式会社における社外役員のQ&A
まずは、一般的な株式会社における社外取締役・社外監査役の要件を見ていきましょう。
Q1. そもそも、社外取締役になるための大前提は何ですか?
A1. 会社の業務執行に関与しないことです。
社外取締役は、その株式会社または子会社の「業務執行取締役」や、部長・課長などの「支配人その他の使用人」であってはなりません。あくまでも経営陣から独立した立場で、経営を監督することが求められます。
Q2. 会社のOBでも社外取締役になれますか?過去の経歴に関するルールを教えてください。
A2. なれますが、「10年ルール」をクリアする必要があります。
過去にその会社や子会社に在籍していた場合でも、以下の要件を満たせば社外取締役に就任できます。
- 就任する前の10年間、その会社や子会社の業務執行取締役や従業員でなかったこと。
- もし就任前10年以内に取締役や監査役だった期間がある場合でも、その役職に就くさらに前の10年間に、業務執行取締役や従業員でなければ問題ありません。
これにより、会社とのしがらみが少ない人物が就任しやすくなっています。
Q3. 親会社や兄弟会社の役員は、子会社の社外取締役になれますか?
A3. いいえ、原則としてなれません。
独立性を確保するため、以下のような親会社・兄弟会社との関係がある人物は社外取締役になることができません。
- その会社の親会社の役員や従業員
- その会社の兄弟会社の業務執行を行う役員など
グループ企業内での馴れ合いを防ぐための重要なルールです。
Q4. 現経営陣の親族は、社外取締役になれますか?
A4. いいえ、なれません。
公平な監督機能を期待できないため、以下の人物の配偶者または二親等内の親族(兄弟、子、孫、祖父母など)は、社外取締役になることができません。
- その会社の取締役、執行役、支配人などの重要な使用人
- その会社の親会社の経営者(自然人の場合)
Q5. 社外「監査役」の要件も、社外取締役とほぼ同じですか?
A5. はい、多くの点で共通しています。
社外監査役も、社外取締役と同様に独立性が求められるため、就任前10年間の経歴に関する「10年ルール」や、親会社・兄弟会社、近親者に関する要件が定められています。
Q6. 「監査等委員会設置会社」では、社外取締役の人数に決まりはありますか?
A6. はい、過半数が社外取締役である必要があります。
監査等委員会設置会社では、監査機能を担う「監査等委員会」を設置します。この委員会は3人以上の取締役で構成され、そのメンバーの過半数は社外取締役でなければならないと定められています。これにより、監査機能の独立性と実効性を高めています。
Q7.: 株式会社の社外取締役や社外監査役に関する登記のポイントは何ですか? A7: 責任限定契約の対象は、取締役(業務執行取締役等であるものを除く)または監査役全般に拡大されています。これにより、責任限定契約の定めがあることを理由として社外取締役または社外監査役である旨を登記する規定はありません。
他の制度においては、社外取締役である旨の登記が必要とされています。
• 監査等委員会設置会社: 取締役のうち社外取締役であるものについて、社外取締役である旨を登記しなければなりません。
• 特別取締役による議決の定めがある会社: 特別取締役は社外取締役でなければならないため、社外取締役である旨の登記が必要です。
• 指名委員会等設置会社: 取締役のうち社外取締役であるものについて、社外取締役である旨の登記が必要です。
まとめ
役員を選任する際には、会社のガバナンスを強化できる適切な人材を見極めることが不可欠です。社外取締役・社外監査役の要件は、企業の規模や形態に関わらず、「経営からの独立性」をいかに確保するかという点に主眼が置かれています。
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監修 司法書士 中野大輔 なかの司法書士事務所
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