所有者不明土地・建物管理命令とは?手続きや登記のポイントをわかりやすく解説!
近年増加している“所有者不明土地問題”。その対応策として注目されているのが「所有者不明土地・建物管理命令」です。この記事では、制度の概要から登記、管理人の権限、売却手続き、そして取消しまで、実務的なポイントをQ&A形式で解説します。
Q1. 所有者不明土地・建物管理命令とは何ですか?
A1. 所有者不明土地・建物管理命令とは、所有者やその所在が分からない土地・建物について、利害関係人の請求に基づき、裁判所が選任した「管理人」に管理を命じる制度です。
Q2. 「所有者不明」とは具体的にどういう状態ですか?
A2. 主に以下のようなケースが該当します。
- 所有者が誰か分からない
- 所有者の氏名は分かるが住所や連絡先が不明
- 所有者が死亡し、相続登記がされておらず相続人も不明
- 共有持分の一部について、共有者の所在が不明
Q3. 管理命令が出されたら何が起こりますか?
A3. 裁判所は命令と同時に、所有者不明土地・建物管理人を選任します。管理人は、対象財産の「管理および処分権限」を持ちます。
ただし、次のような重要な行為は裁判所の許可が必要です。
- 利用・改良行為(保存行為、性質を変えない範囲の利用・改良行為を除く)
- 処分行為(売却など)
Q4. 管理命令が出された場合、登記はどうなりますか?
A4. 命令が出されると、裁判所書記官が職権で登記を嘱託します。
【注意点】
- 未登記の不動産については、表題登記・保存登記が職権でされます。
- 所有者欄には「住所不明 氏名不詳」などと記載されます。
Q5. 相続登記が未了の不動産でも管理命令を使えますか?
A5. はい、使えますが前提条件があります。
相続登記が未了の場合、まず管理人が相続人の代理人として相続登記を行う必要があります。
また、相続人すら不明な場合には、「相続財産法人名義」への名義変更登記が必要です。
Q6. 管理人は土地・建物を売却できますか?
A6. はい、裁判所の許可を得れば可能です。
売却による所有権移転登記の申請では、次のような手続きが必要です。
売却登記のポイント:
- 登記義務者: 所有者(登記名義人)、ただし管理人が代理
- 申請人: 管理人と買受人の共同申請
- 必要書類:
- 裁判所の許可書の謄本
- 管理人の印鑑証明書
- 登記識別情報は不要
Q7. 管理命令は取り消すことができますか?
A7. はい、以下のような場合に取り消されます。
- 管理すべき財産がなくなったとき
- 管理を続ける必要がなくなったとき
取り消しが決定されると、登記官が職権で抹消登記を行います。
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関連リンク 共有に関する事件(非訟事件手続法第三編第一章)、土地等の管理に関する事件(非訟事件手続法第三編第二章) | 裁判所
監修 司法書士 中野大輔 なかの司法書士事務所
免責事項: この記事は、法律の一般的な情報を提供するものであり、個別の事案に対する法的アドバイスではありません。個別のケースについては専門家等にご相談ください。法令の改正により内容が変更される場合があります。


