2025年4月21日(令和7年)より、商業登記規則の一部が改正され、本店移転の手続きが大きく変わりました。
特に注目すべきは、「他の登記所管轄区域への本店移転時における印鑑届書の提出が不要になった」点です。
この記事では、この改正のポイント・実務対応・注意点・よくある質問まで解説します。
目次
- 改正の概要と企業への影響
- 新制度の仕組みと手続き変更
- 実務での対応方法と注意点
- よくある質問
- 今後の手続きで気をつけるポイント
- まとめ
1. 改正の概要と企業への影響
改正の核心:印鑑記録の自動移送制度の導入
これまでの制度では、本店を他の登記所の管轄区域に移転する際、新所在地の登記所に印鑑届書を再提出する必要がありました。
つまり「旧所在地での抹消手続き」「新所在地での届出手続き」という二重手続きが発生していました。
新制度でどう変わった?
2025年4月21日以降は、下記のように変更されています:
| 区分 | 改正前 | 改正後(令和7年法務省令第10号) |
| 印鑑届出 | 新所在地で再提出が必要 | 自動移送により不要 |
| 手続き先 | 旧・新 両登記所 | 旧所在地の登記所のみ |
| 所要時間 | 約7〜10日 | 約3〜5日に短縮 |
| 申請者負担 | 二重手続きあり | 一括手続きに簡素化 |
2. 新制度の仕組みと手続き変更
どうやって印鑑記録が移送される?
- 旧所在地の登記所が、該当会社の有効な印鑑記録を
- 新所在地を管轄する登記所に自動で移送
- 新登記所では、印鑑が提出されたものとみなされる
重要な制限事項
- 移送対象となるのは、有効な印鑑記録のみ
- 既に廃止等がされている印鑑は移送対象外となります
3. 実務での対応方法と注意点
施行日以降(2025年4月21日〜)の手続きフロー
- 印鑑届書の提出:不要
- 登録免許税:従来どおり必要
印鑑カードは引き継がれない!注意ポイント
新制度では印鑑カードは自動移送されません。
そのため、以下のような実務対応が必要です:
印鑑カードの取得方法
- 本店移転登記が完了
- 新所在地を管轄する登記所に印鑑カード交付申請
- 新しい印鑑カードを受領
改印を希望する場合の対応パターン
| タイミング | 提出先 | 備考 |
| 移転前 | 旧所在地登記所 | 通常の改印届提出 |
| 同時 | 本店移転申請と併せて提出 | 登記完了後、反映 |
| 移転後 | 新所在地登記所 | 新たに提出が必要 |
4. よくある質問
Q1. この制度改正はいつから適用されていますか?
A: 令和7年4月21日(2025年4月21日)より施行され、以降の申請に適用されます。
Q2. どの会社が対象になりますか?
A: 株式会社・合同会社・合資会社・合名会社など、商業登記規則が適用されるすべての法人が対象です。
Q3. 印鑑カードは引き継がれますか?
A:いいえ。従来どおり、新所在地での申請が必要です。
Q4. 電子申請にも適用されますか?
A: 適用されます。
5. 今後の手続きで気をつけるポイント
実務上の重要チェックリスト
事前準備
- 本店移転登記申請書
- 株主総会議事録/取締役会議事録
- 印鑑証明書の取得
- 登録免許税の確認と納付
手続き中に確認すべきこと
- 現在の印鑑記録に廃止の記録がないか確認
- 改印の必要性を事前に判断
手続き完了後
- 印鑑カードの再申請
- 関係書類の住所変更
- 取引先・官公庁への所在地変更通知
6. まとめ
今回の制度改正による主なメリット
- 手続きの簡素化:二重手続きの解消
- 時間の短縮.コストの削減
- ミスの減少:提出忘れ・二重管理のリスク軽減
関連法令:商業登記規則の一部を改正する省令(令和7年法務省令第10号)
施行日:2025年4月21日日
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関連リンク 法務省:本店を管轄登記所外に移転する際の印鑑届書の提出が不要になりました
監修 司法書士 中野大輔 なかの司法書士事務所
免責事項 本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別のケースについては専門家等にご相談ください。法令の改正により内容が変更される場合があります


