「特別委任方式」とは?7つの要件を解説【不動産登記の最新実務】

不動産登記

令和8年(2026年)3月1日から、司法書士・司法書士法人が代理人として行う不動産登記の電子申請について、新たに「特別委任方式」と呼ばれる取扱いがスタートします。これにより、電子申請手続きの利便性向上が期待されます。


特別委任方式とは

特別委任方式とは、不動産登記の電子申請において、登記義務者(売主など)が電子署名を行わなくても、司法書士・司法書士法人が代理人として自らの電子署名のみで登記原因証明情報を作成・提供できる方式をいいます。

つまり、従来必要だった「登記義務者本人による電子署名」を省略できる仕組みです。

特別委任方式が使える「7つの要件」


1. 対象となる登記の種類

登記権利者・登記義務者の共同申請で、かつ以下のいずれかに該当する登記であること。

  • 売買・贈与による所有権移転登記(共有持分も含む)
  • 抵当権(根抵当権含む)の設定または抹消

2. 登記義務者からの「特別な委任」があること

司法書士・司法書士法人が、登記原因証明情報の作成について特別に委任を受けていることが、代理人の権限を証する情報に記録されていることに明記されている必要があります。


3. 登記原因証明情報の内容と作成者の要件

司法書士・司法書士法人が電磁的記録で作成し、以下を記録します。

  • 自らが確認した登記原因となる事実・法律行為とその確認方法
  • 司法書士・司法書士法人の職名・氏名
  • 作成年月日
  • 当該司法書士・司法書士法人の電子署名

4. 事実確認の方法

司法書士・司法書士法人が行った確認方法が、次のいずれかであること。

  • 契約締結の現認
  • 金銭授受の現認
  • 登記義務者からの聴取
  • その他相当と認められる方法

5. 登記申請代理人であること

登記原因証明情報を作成した司法書士・司法書士法人が、その登記の申請代理人となって申請する必要があります。


6. 申請情報に「特別委任方式」であることを記録

申請情報の記載欄に、本件が特別委任方式である旨を記録すること。


7. 登録免許税は電子納付

原則として、登録免許税を電子納付で行うことが要件となります。
(電子納付不可の場合、または非課税の場合を除く)


まとめ 特別委任方式で次のステージへ

売買による所有権移転、抵当権設定・抹消といった頻出の業務で、今後の電子申請の標準化を後押しする制度といえます。

監修 司法書士 中野大輔  なかの司法書士事務所

免責事項: この記事は、法律の一般的な情報を提供するものであり、個別の事案に対する法的アドバイスではありません。個別のケースについては専門家等にご相談ください。法令の改正により内容が変更される場合があります。